こうした結果をみると、65歳以上の人たちの半数は地域社会の活動に参加している。その大半は健康維持のための活動か趣味の活動であることがわかる。また、少数派ではあるが、環境改善、安全・防犯、教育・文化啓発、子育て支援などの地域貢献の活動に参加する人もいる。

 その調査では、生きがいを感じる程度についても尋ねている。

 全体のほぼ4分の3が生きがいを感じていると答えてはいるものの、何らかの社会活動に参加している人の84.7%が生きがいを感じているのに対して、参加していない人で生きがいを感じているのは61・7%であり、かなりの差がある。このような結果をみると、地域の社会活動への参加は生きがい感を高める効果があると言えそうである。

「日本老年学的評価研究機構」の調査によれば、社会参加している高齢者は、社会参加していない高齢者と比べて、9年後の要介護リスクは0.82倍、死亡リスクは0.78倍であった。つまり、社会参加することによって、9年後の要介護リスクや死亡リスクを減らせることがデータで示されたのである。

 2017~18年にかけて「東京都健康長寿医療センター研究所」の相良友哉たちが60歳以上を対象に実施した調査によれば、週1回以上友人と交流している人の比率は男性より女性の方が高いが、町内会活動や地域のイベント、趣味の活動などに参加している人の比率は男性の方が高かった。

 このように、女性の方が友人や近所の人と日常的に交流している人が多いというのは、多くの調査結果で示されていることだが、男性の場合、これまで地域に根を下ろしてこなかったハンディを補うべく、自治会活動や趣味の活動などへの参加を積極的に行っているということなのだろう。

 自治会活動としては、町内会の日常的な運営、清掃活動、防災活動、祭りの準備・運営などがある。趣味の活動としては、俳句、詩吟、コーラス、カラオケ、絵画・版画、写真、料理、太極拳、フラダンス、歩く会など、さまざまなものが実施されている。

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趣味の活動が、かえってストレスに