※写真はイメージです(gettyimages)
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 筋トレには大きな筋肉から鍛えるという鉄則があるが、英会話にも当てはまるという。どういうことなのか。『英会話は筋トレ。』の著書で英語学習コーチの船橋由紀子さんに聞いた。AERA 2023年7月31日号から。

【画像】中2レベルまでの例文はこちら

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 筋トレと英会話。一見かけ離れて見える両者の共通点は、勉強法のヒントにもつながる。こう話すのは、『英会話は筋トレ。』という著書もある英語学習コーチの船橋由紀子さんだ。

「共通点は二つあります。一つは、『何を(どこを)鍛えるかが重要』、もう一つは、『どう反復するかが命』という点です」

 船橋さんは著書で「I’m+形容詞」「〔You would like+名詞〕の疑問文」など構文別に、中学2年生レベルまでの100例文をあげ、28日間で英語をスラスラと話せるようになる勉強法を提案している。例文は「I」「you」が主語のものが中心で、「he」「she」で始まるものは含まれない。船橋さんは狙いをこう説明する。

「筋トレの場合、たとえば二の腕を絞りたいとそこを鍛えても、全体的な代謝は上がらず体質は変化しないんです。けれど、大腿四頭筋や大胸筋など大きな筋肉を鍛えると、体は変わりやすくなる。この考えを英会話に転用すると、彼や彼女の話よりも、『私とあなた』についての英語が最も身近な表現であり、大きな筋肉にあたるものなんです」

 さらに、勉強は「自動化」を目指すべきだという。絞り込んだ最低限の例文を反復し、脊髄反射のようにスラッと自動的に口から出てくる構文をなるべく増やしておくことが大切だ。コツは「時間を区切ること」。

「たった100の例文ですが、英語の勉強は『ラク』ではありません。反復は面倒くさいし、すぐ忘れてがっかりもする。成果がついてくるのは後から。だからこそ、時間を区切って『この3分だけ頑張ろう!』と集中し、精神に『夢中』という状態を生むことが大切なんです。その夢中が自分に『楽しい』を与えてくれると思います」

 もう一つのコツは、「畳みかけるような復習」だ。勉強して覚えた瞬間は、忘れ始める瞬間でもある。畳みかけるタイミングを逃すと、覚えることに費やした労力をあっという間に無駄にしてしまうと船橋さんは言う。

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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