一方でアメリカのスーパースターといえば、やっぱりハルク・ホーガンだろう。ホーガンはニューヨーク・スタイルで、自分の肉体と技によって、あの地位を勝ち取った。仲間のことは大切にするけど、ニューヨークのチャンピオンというバリケードは持っていた。

 あの当時、アメリカの人気スポーツの野球やアメフトの選手に負けない収入があったレスラーはホーガンだけだ。アメリカのプロスポーツの年収ランキングでトップ10に入っていたからね。向こうは集客力も違うし、ペイパービューもあるし、なにより金を生むのがうまいビンス・マクマホンもいたしね。

 一方で、リック・フレアーはホーガンと比べると、フランクで対等に付き合ってくれる、身近なスターという感じだったね。フレアーとはノースカロライナで一緒になって、彼の人となりを知った。アメリカでは野球やアメフトの選手と違って、言ってしまえば“誰でもなれる”プロレスで稼ごうとすると、ライバルも多いし、それほど稼げるわけじゃないから、みんなケチになるのは当然だ。まして家族がいるなら、余計な金は使えないからね。

 相撲からプロレスに転向したばかりの頃の俺は、みんなそれぞれ自分で飯を買って、勝手に一人で食うっていうことに初めは驚いたもんだ。それはアメリカでも日本でも普通のことなんだけど、相撲の世界じゃあ考えられないことだからね。でもフレアーは、みんなの分の飯やビールを買って、相撲界みたいにみんなで飲み食いするのが好きだったみたいだ。

 フレアーはどんな相手にも対処できる技術、懐の深さを持っていたし、むしろそれくらいじゃないと、チャンピオンベルトは掴めない。誰と戦っても面白くて、会場が盛り上がるとなると、プロモーターもチャンピオンになってもらいたいだろう。

 どんな田舎の会場でも「NWAチャンピオンがやって来る!」となると、客が大勢押し寄せる。それを全米でやっているからね。客が大勢来ると一緒にサーキットしている俺たちのファイトマネーも上がるから、俺たちも人気のチャンピオンを渇望している部分もあった。

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