アスレチックスからオリオールズにトレードされた藤浪晋太郎
アスレチックスからオリオールズにトレードされた藤浪晋太郎
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 7月19日(以下、日付は現地時間)、今季からMLBアスレチックスでプレーしていた藤浪晋太郎の電撃トレードが成立した。開幕当初の制球難は改善して結果を出し始めてはいるが、“本物”かどうかを判断するのは難しい部分がある。新天地のオリオールズで活躍することはできるのだろうか……。

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 MLB挑戦1年目の藤浪はシーズンが進むにつれアジャストしているようにも見える。大きく負け越して諦めモードのアスレチックスは目標のないシーズンを戦っていたが、藤浪自身は“生き残り”のためブルペン投手として奮闘。それが今回のトレードにつながったのは間違いない。

「ボールが暴れないで大きく外れることがなくなった。ストライクが取れるのでスプリットで空振りが奪える。球威は素晴らしいものがあるので、相手打者を力で抑え込むシーンもある」(MLBアジア地区担当スカウト)

 阪神時代は入団当初こそエースへの階段を着実に登っていたが突如低迷。くすぶりが続いていたがポテンシャルが高く評価され、メジャーでは日本時代を大きく上回る給料を得たことでも話題となった。しかし、開幕後は先発投手として起用されていたが、厳しい現実に直面した。デビュー戦で2回1/3を8失点で負け投手になると、その後も炎上する試合が多く、早々とリリーフへ配置転換となった。

 ブルペンに回ってからも5月は11試合の登板で防御率10.50だったが、6月から数字が改善。10試合の登板で防御率3.97と調子を上げ始めた。7月はさらに数字を上げ、ここまで7試合の登板で防御率2.25、8イニングを投げて10個の三振も記録している。

「今までは感覚だけで投げており1球ごとにバラバラになっていたのだろう。渡米後はキャッチボールや壁当てで、体の使い方を確認している。メカニズムに沿った正しい投球フォームになりつつあるのか、与四球数が激減している」(在米スポーツライター)

 セットポジション時のグラブの位置を変え、足を上げる際には軸足方向へ捻るようにした。試行錯誤をして自分に適した体の使い方が見つかりつつあるのだろうか。6月20日以降は11試合連続で無四球を記録するなど、長年にわたる制球難を克服し、ついに一皮むけたかと感じさせるが……。

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藤浪は“覚醒”したのか?