かつて中日の名捕手は「父親のように厳しい谷繁元信のリード、母親のように包み込む中村武志のリード」と、対照的だった。中村は横浜、中日、ロッテ、韓国と16年間のコーチ経験も豊富で、選手と温かく接する采配を振るうのではないか。
山崎武司はコーチ経験こそないが、中日からオリックス、楽天と、野村克也監督らのべ12監督に仕えている経験は、指導者としての「引き出し」になるはずだ。
落合政権後半の4番・主砲としてMVPを受賞した和田一浩は、現在1軍打撃コーチとして細川成也、石川昂弥、鵜飼航丞らを育てている。
【2】若返り派=負けられない国際大会で指導者経験の井端
・川上憲伸(75年生まれ、48歳。明大。日米通算125勝)
・井端弘和(75年生まれ、48歳。亜大。通算1912安打)
・荒木雅博(77年生まれ、45歳。熊本工高。通算2045安打)
・福留孝介(77年生まれ、46歳。PL学園高。日米通算2450安打)
川上憲伸はテレビ解説でも投手論、投手目線での打者論が的確で、かつ理路整然として分かりやすい。最多勝のタイトルを2度獲得など実績、知名度とも申し分ない。「伝える力」に秀で、指導者としても力を発揮するだろう。
「アライバ」コンビの一人、井端弘和は13年WBC台湾戦で伝説の同点タイムリー、21年東京五輪金メダルのコーチなど、国際大会の申し子。また巨人コーチ、NTT東日本の臨時コーチ(都市対抗野球で準優勝)、同コーチを歴任、大学野球にも興味を持ち、侍ジャパンU12監督など、さまざまなカテゴリーでの指導者経験が豊富だ。組織のマネジメント能力、走攻守にわたる指導力も高い。井端が監督就任となれば、吉見一起(通算90勝、最多勝2度、38歳)を投手コーチに伴うのがいいのではないか。吉見は名門社会人トヨタ自動車のテクニカルアドバイザーを務め、侍ジャパンU12投手コーチでもある。右ヒジを痛めたつらい経験の持ち主であり、相手のことを思いやるアドバイスもできる。
コンビのもう一人、荒木雅博は現役最終の18年選手兼任コーチから、コーチ稼業は足掛け6年目となる。森繁和、与田剛、立浪和義ら、中日各監督の方向性を、「生え抜き」として理解している。
福留孝介は引退したばかり。現役時代、攻守にわたる「考えたプレー」に定評があった。解説者として客観的に野球を見たあと、近い将来の監督候補生だ。