■60点のテストの褒め方
さらに、内閣府が18年に実施した調査によると、日本は自分自身に満足感を持っている若者の割合がわずか10.4%。13年度の同調査と比べ2.9ポイント上がっているが、諸外国と比べるとまだまだ低いのが現状だ。
教育ジャーナリストの中曽根陽子さんは、褒めるときも叱るときも、「結果ではなくプロセスを見てほしい」と指摘する。
たとえば、子どもがテストで60点をとったとする。そんなとき、つい「どうしてこの問題を間違ったの」と叱っていないだろうか。親はできなかったことに注目しがちだが、まずは解けた問題をしっかり褒めることが重要だ。
「漢字が満点でえらいね」「四字熟語が得意なんだね」と具体的に伝えたあと、「今度はこの問題が解けたら、もっといいね」「どうやったらできるようになるかな」と一緒に考える。それを繰り返すことで、ミスを前向きにとらえられるという。
このとき、注意も必要だ。中曽根さんは言う。
「有名な学校に受かったからとか、100点だからすごいという条件付きの肯定はよくありません。成績が優秀であろうと低迷しようと、それがあなたの価値を決めるものではないと伝えてください」
大人には数字で測れない子どもの価値を見抜く力が求められている。(編集部・福井しほ)
※AERA 2023年7月17日号より抜粋