今ふりかえると、『はぐちさん』は、いい感じに力が抜けていて受け入れてもらいやすかったのかなと。「必要とされるものを提供することが大切」だと実感できました。2015年の12月から約1年間、日記のような感覚で、毎日投稿し続けた結果、『はぐちさん』の雑誌連載につながりました。

――まんがをかいていて楽しいこと、苦手なことはありますか?

 話の「オチ」ができたときが、いちばん楽しい瞬間です。また、空気感をうまく伝えられるように、フキダシの位置や構図を工夫して表現することが得意なので、「これだ」という絵がかけたときもうれしいです。プロになっても、苦手なことはありますが「苦手は苦手なまま、得意なことをのばす気持ち」でいればいいかと開き直っているところもあります(笑)。

――キャラクターや物語はどのようにつくっていますか?

 ふだん、キャラクターを考えるときは「読者さんに見てほしいキャラ」をはじめに決めて、あとは対比を大切にしています。例えば、器用なキャラに対しては不器用なキャラをつくります。どこかに欠点があるキャラにすると、それを克服していく物語がつくりやすいです。

 物語は「かいてみたい題材」をはじめに決めます。意外性のあるシチュエーション(状況)や設定をつくるときには、やはり対比で考えることが多いです。例えば、暑い陸地の鉄工所で、涼しい海にいるクラゲが働いていたらおもしろいかなとか(笑)。あとは、エンターテインメント作品のエンディングには「救い」があるほうがよいと考えているので、できるだけハッピーエンドを目指しています。

――まんが家を目指す人へのメッセージをください。

 以前は「雑誌への投稿」「出版社への持ちこみ」が主流でしたが、今はSNSを通して声がかかってデビューする道もあります。紙やWEBなどの形にこだわらずに、作品をどんどんつくることが大切です。同人誌の即売会への参加もおすすめ。「締め切り」に向けてがんばれますし、新人発掘をしている編集者さんに、気軽にアドバイスをもらえることもありますよ。

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寒い冬の日も家でまんがをかいていられる幸せ