「環軸椎亜脱臼(かんじくつい あだっきゅう)に伴う脊髄症・脊柱管狭窄症」であるということがわかり、10カ月間の入院生活を送っていた天龍さん。6月22日に退院し、すでにイベント出演などの予定あり、精力的に活動を再開される。今回は天龍さんに、相撲の支度部屋やプロレスの控室にまつわる思い出を語ってもらいました。
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先日、6月22日に10カ月の入院生活が終わって、ようやく家に帰ってきたんだけど、退院してすぐに娘がいろいろと仕事を入れててね。「入院してお金を使ったんだからしっかり稼いで来て!」って(笑)。
まあ、入院中は暇だったし、俺の現役の晩年は控室でリングシューズにヒモを通すのが面倒臭いと思うようになって、それで「これは引退した方がいいな」という結論を出した。今、控室で悶々としながらリングシューズにヒモを通すことがなくなったことだけでも、ずいぶん気が楽だよ。控室での話のついでに、プロレスの控室や相撲の支度部屋のことを話すことにしよう。
大相撲の支度部屋は、東と西に分かれていて、取り組みごとに力士が分けられる。日によって東西が変わるから、東西の横綱、大関以外の力士は場所中に毎日、西に行ったり、東に行ったりだ。
その支度部屋に入って一番最初にやることは、明日の取り組みが誰になったかをチェックすること。取り組み相手は前日に発表されるからね。それから当日の取り組みの準備だ。この準備は人によって違って、リラックスしている力士もいれば、すぐに四股を踏んだり、鉄砲をやったり、汗びっしょりになるまで動いたりする力士もいる。
横綱の付け人としていくと、横綱の世話をするんだけど、横綱の出番は最後の方だから、支度部屋の後ろの方に陣取って、世間話をしているわけだ。俺たち下っ端は、横綱が動き出すのを待って、準備する場所を作ったり、水を持って行ったりしなければいけない。
他の部屋の下っ端の力士と話すこともあるけど、みんな口数は少ないよ。支度部屋は厳粛なところだから無駄話はせず、喜怒哀楽を極端に表わしてはいけない。勝ってもハイタッチしたりはしゃいだりするのはもってのほか! これは不文律で、ずっと引き継がれた伝統みたいなもんだ。