米国駐在の記者はバウアーについてこう語る。

 「勝利への執着心は誰よりも強い投手です。交代を命じられて不満をあらわにする態度が度々フォーカスされましたが、トラブルメーカーというわけではありません。投球のメカニズムなどを聞くとずっと熱弁する理論家です。日本の野球、文化にも以前から興味を持っていたので、DeNAに入団するのは決して腰掛けではない。今のバウアーを見ていると楽しそうに野球をしている。色眼鏡で見られない日本でプレーできることが心地よいのでしょう。メジャーで活躍した選手の中にはプライドが高く、オレ様気質の選手も見られますが、バウアーには当てはまらない。物腰が柔らかく勉強熱心で、他の選手にも好影響を与えると思います」

 バウアーがチームにもたらす影響は計り知れない。印象的だったのは、先発登板した7月1日の中日戦(横浜スタジアム)だった。2点ビハインドの6回2死一、二塁。岡林勇希の打球が二塁に飛んだ。挟殺プレーで走者をアウトにしてチェンジのはずが、内野陣のお粗末な連係プレーでオールセーフに。バウアーはぼうぜんとした表情を浮かべ、ホーム付近とマウンド付近で放送禁止用語を何度も絶叫。怒りをあらわにした。2死満塁のピンチで高橋周平を158キロの直球で投ゴロに仕留めると、送球せずに一塁ベースへダッシュしてアウトに。怒りは収まらず、ベンチでも絶叫していた。

 味方の拙守に腹を立てる立ち居振る舞いは大きな反響を呼んだが、SNS上では「DeNAはお粗末なプレーが改善されないから何十年も優勝できない。バウアーが怒るのも無理はない」「バウアーの言う通りこんな野球をしていたら優勝できない。もっと自分のプレーに責任を持つべきだし、バウアーを見習ってほしい」など、DeNAファンからバウアーを擁護する声が殺到した。 

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