スポーツ紙デスクも、バウアーの行動に理解を示す。

 「DeNAは投打で能力の高い選手がそろっていますが、細かいプレーの精度が低い。連係プレー、犠打などをきっちりやらなければ優勝できない。選手たちも分かっているでしょうけど、意識がまだまだ低い。ミスを指摘して嫌われ役を買って出る選手がいないなか、バウアーの存在は貴重ですよ。本気で優勝したいと思うならあんなお粗末なプレーはしない。バウアーのあの態度をどう感じるか。怒った理由を突き詰めるべきです」 

 マウンドに立てば熱いが、普段のバウアーは穏やかだ。親日家で、オタク気質で知られる。日本の生活、文化に興味津々で自身のYouTubeチャンネルでは都内にあるポケモンセンターに向かったり、ボールの代わりにペットボトルのキャップを使った「キャップ野球」に挑戦したりする動画を配信。チームメートともすっかり仲良くなった。味方の拙守で激高し、引き分けに終わった中日戦の登板後も、最後の打者となった戸柱恭孝の背中をさすって励ます姿が見られた。 

 気になるのは来季以降の去就だ。報道によると、今季のバウアーの年俸は基本給300万ドル(約4億3000万円)プラス出来高100万ドル(約1億4300万円)。ただ、ドジャースとの3年契約の最終年でメジャー40人のロースター枠から外れたため、メジャーでの年俸約2250万ドル(約32億円)はドジャースがほぼ負担している状況になっている。30億円以上という年俸を考えれば、メジャー復帰が現実的な選択肢だ。 

 だが、外国人選手をマネジメントする関係者は懐疑的な見方を示す。 

 「メジャーの大半の球団は、バウアーの獲得に関して慎重です。投手としての能力は文句なしですが、トラブルがまた明るみに出るようだと、獲得に踏み切った編成担当の責任問題になる。ファンからの理解を得られるかという問題もある。大幅減俸は免れませんが、バウアーが望むなら来季も日本球界でプレーする可能性があると思います。シーズンをフルで稼働すれば15勝以上マークする力を持っているので、資金力のある球団は年俸10億円を提示しても不思議ではない。DeNAで来季もプレーする可能性も十分考えられます。バウアーが環境面、金銭面など何を重視するか。マネーゲームになるとDeNAは厳しい。巨人ソフトバンクが獲得に乗り出せば有力候補になるでしょう」 

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