・教師の期待に疲れて不登校になった時に見放さないでほしかった
・学校ではみんなと違う部分が強調され、いじめの対象となりやすい
・(先生に)ギフテッドの知識がなく、担任が代わるたびに子どもの特性を説明しなければならない
こうした個性を持った子どもたちは、いずれも「ギフテッド」にあたるのか。
文部科学省の有識者会議では、その定義をめぐって、会議の中でたびたび議論が交わされた。
「特異な才能を定義することで、それを伸ばすことに教育の力点が置かれるようになりかねない」
「枠組みをもって定義していくだけでは拾えないもの(能力)が数多くある」
委員らからそうした指摘があった。22年秋にまとめられた提言では、IQ(知能指数)などをもとにして才能を定義すると、高IQの人を選抜する動きが出てくるとして、「定義はしない」と結論づけた。そのうえで、提言では「特異な才能のある児童生徒の抱える困難を丁寧に把握し、それぞれの環境や条件に応じて適した対応を柔軟に講じることが必要」とした。
海外のギフテッド教育の基準も国や地域によって異なり、IQ130以上を対象にする国もあれば、独自の基準を設ける国や地域もある。
ギフテッドに関する専門書の翻訳を手がけ、発達心理学や教育心理学が専門である上越教育大学の角谷詩織教授に話を聞くと、世界的なおおよその共通理解となっている定義を教えてくれた。
・並外れた才能ゆえに高い実績をあげることが可能な子ども
・実際目に見えて優れた成果をあげている子どもだけでなく、潜在的な素質のある子どもも含む
・才能の領域は、知的能力全般、特定の学問領域、創造的思考や生産的思考、リーダーシップ、音楽、芸術、芸能、スポーツに及ぶ
・有資格の専門家(教師、医師、臨床心理士、芸術やスポーツの専門家等)により判定された子ども
■IQとは何か?
では、専門家はどのように判定しているのだろうか。才能の一つの指標とされているIQとはどうやって導き出すのか。