国内では、精神科や心療内科などで知能検査を受けることができる。臨床心理士や公認心理師らが1時間程度かけ、一対一で検査をする。検査の内容は、知識を問うものではなく、様々な領域での知的能力を測る。
国内でも広く利用されているのは、「ウェクスラー式知能検査」という方式で、70年以上前にウェクスラーというアメリカの心理学者が開発した。その5回目の改訂版を「WISC-V」(ウィスク・ファイブ、Wechsler Intelligence Scale for Children-Fifth Edition)といい、現在、知能検査として世界中で最も用いられている。10種類の基本的な検査と、必要に応じて行う6種類の補助的な検査で構成されている。この検査を受けることで、全般的な知的能力と、主要指標という次の5つの領域(改訂前の「WISC-IV」では4領域)の得点などを知ることができる。
(1)言語理解指標(言語による理解力や推理力、思考力)
(2)視空間指標(空間認識力や統合、合成などの能力)
(3)流動性推理指標(視覚対象物の関係を把握、推理する力)
(4)ワーキングメモリー指標(一時的に情報を記憶しながら処理する能力)
(5)処理速度指標(視覚情報を処理するスピード)
どの能力に長けているかは、人によって異なり、すべての領域で全般的に高い人もいれば、一部の領域が得意な人もいるという。なお、同種の成人向けの検査は「WAIS」(ウェイス、Wechsler Adult Intelligence Scale)と呼ばれている。
■高1が小6のクラスにいるようなもの
文部科学省の調査でも、取材したギフテッドの当事者の方々の話からも「周囲とのなじめなさ」が浮かび上がる。なぜギフテッドの人たちがそうした苦悩を抱えるのか。角谷教授はこんなことを教えてくれた。
「知的な才能のあるギフテッドの子どもは、平均的に2~4学年、知的レベルが進んでいると言われています。これは、小学6年生が小学2年生のクラスに所属していること、高校1年生が小学6年生のクラスに所属していることに相当します」