「仕事を進めるうえで考えなければならないことが多くなっており、OJT(業務を通じた社内トレーニング)では仕事で抱えた疑問を解消しきれなくなっているのでしょう。社内では学べないからという理由で多くの人に志願していただいています」(福地准教授)

 やはり専門科目のホスピタリティ・マーケティングを担当する鎌田裕美准教授も「外資系の経営層はMBAを取得しているのが当たり前。観光業界も同じだと聞いています」と現状を説明する。

「指示を出す立場の管理職になり、経営学を勉強する必要性を感じて入学する人が多いです。MBAで学んでみて、これまでの会社での経験について、うまくいかなかった理由やある事態が生じる理由がわかった、という声をよく聞きます。他業界にいるほかの学生も自分と似たような悩みを持っていることにも気づくようです」

■新たな問題にぶつかっても対応できる創造的思考力を鍛える

 このプログラムでは、経営戦略、マーケティング、会計、ファイナンスなどの一般的なMBAである経営管理プログラムと共通する科目に加えて、ホスピタリティ関連の専用科目や演習科目のワークショップで学ぶ。そのほかに現場をよく知る実務家などによる特別講義も行っている。

 特別講義では、地域活性化のためのマーケティング理論を使った事例紹介が好評だ。このようなデスティネーション・マーケティングも消費財と枠組みは共通する。理論を知って現実に生かし、実際にやってみて適切だったかを振り返るという「理論と現実の往復運動」が大事だと福地准教授は説明する。

「自動車修理に例えると、自動車の動く原理を理解することは自動車修理をするうえで重要ですが、その原理を知ったからといって自動車修理ができるようになるわけではありません。理論は現実を理解するうえで有意義ですが、理論を用いて現実の問題を解決するにはトレーニングが必要です。単に知識を得るだけではなく、それを自分が向き合う現実に落とし込んで応用するための創造的思考力を鍛えるのがこのプログラムです。2年間の学習で、新たな問題にぶつかっても自分で解決法を見つけられるようになることを目指しています」

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