※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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社会人になってからも教育機関でスキルや知識を身につける。そんなリカレント教育が注目されている。なかでも2年間しっかり研究に打ち込む大学院修士課程ではどんなことを学べるのだろうか? 成長産業と期待される観光業界の経営人材を送り出す「観光MBA」と、国連が提唱するSDGsも課題として取り上げる「サステイナビリティ学」について取材した。

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 大学院は、知識の量を増やすだけの場ではない。未知の分野やさまざまな考え方に触れながら、仕事で直面する問題や、社会の課題を解決していく方法論を学び、論理的な思考能力が鍛えられる。一橋大学大学院のホスピタリティ・マネジメント・プログラムと、法政大学大学院のサステイナビリティ学専攻を紹介する。

■観光業界の課題を解決する経営人材を育成する

 一橋大学大学院経営管理研究科経営管理専攻経営学修士コースのホスピタリティ・マネジメント・プログラムは、観光業界の高度経営人材の育成を目的として2018年にスタートした。経営学修士の中でも観光業界に特化した「観光MBA」のプログラムだ。

 これまでの修了者は旅行会社、宿泊業、鉄道業、テーマパークといった観光業界の経験者が約7割を占める。執行役員や部長クラスからマネージャー、主任クラスなど役職は幅広く、年齢は30代から40代が中心だ。

 専門科目のホスピタリティ・マネジメントを担当する福地宏之准教授は「成長が期待されている観光業ですが、日本では収益性が低いのが現状です」と話す。

「一番の理由は日々のオペレーションを回すことを重視して戦略的な経営をしてこなかったからでしょう。長年の慣行や、勘と経験に頼る企業が多く、国際的な競争でも戦える経営層の人材が不足しています」

 旅行予約サイトをはじめグローバルに事業展開する企業と取引したり、ホテルの運営を外資系に委託することも多い。すると日本の企業の常識が通じない事態に直面する。

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社内では学べないからという理由で