2014年、川崎市の有料老人ホームで入所者3人をベランダから投げ落としたとして殺人罪に問われ、死刑が確定した施設の元職員、今井隼人死刑囚(31)。今井死刑囚は、公判では犯行を否認してきたが、ノンフィクションライターの高木瑞穂さん(47)に宛てた手紙の中で「私がやった」と犯行を告白していたことがわかった。You Tubeチャンネル『日影のこえ』の取材に対して、高木氏は今井死刑囚とのやりとりの経緯を語り、手紙の全文を公開した。(「日影のこえ」チャンネルで動画を配信しています)
※今井死刑囚の手紙の文面は、読みやすいように句点や読点などを編集部で補足しました。
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1通の手紙が送られてきた。そして、そこに書かれていた衝撃の言葉。
<これまでは本件について「やっていない」と言っていましたが、実は私がやったことで間違いないのです>
まさに連続殺人事件の自白。この言葉は、死刑を受け入れるということを意味しているのだろうか。自らに下された死刑判決を不服とし、最高裁へ上告を行っていた男、今井隼人。2023年5月、その今井が突然、上告を取り下げたという一報がマスコミ各社によって流された。しかし、それらの報道はなぜ取り下げに至ったのかなど、今井の心境に迫るものは皆無だった。
2014年、老人ホームに勤めていた今井は、入居者3人を殺害したとされている。しかし、捜査段階では犯行を自白していたものの、裁判が始まると一転し否認に転じた。死刑判決のよりどころとされたものは、今井の捜査段階での供述だった。
一審、二審ともに死刑判決が下されたが、今井側は激しく抵抗していた。そして係争中だった最高裁でも、新たな証拠を準備し無罪主張を行っていた。
だからこそ、疑問に思う。そんな時期に、なぜ上告を取り下げたのか。実はその疑問の答え全てを今井はこの手紙に記していたのだった。
私たちは、今まで獄中の今井と面会を重ねYouTubeで多くの動画を公開してきた。今井から受け取った裁判資料や手紙は1万枚以上。そして、恐らく最後の手紙になるであろうこの手紙は上告取り下げ後の5月20日付けだ。