高木氏が今井死刑囚から送られてきた手紙。受け取った裁判資料や手紙は1万枚以上になるという。画像の一部を加工しています(写真=高木氏提供)
高木氏が今井死刑囚から送られてきた手紙。受け取った裁判資料や手紙は1万枚以上になるという。画像の一部を加工しています(写真=高木氏提供)

 受け取ったのは私たちと一緒にYouTubeを制作している、ノンフィクションライターの高木みずほ氏。今井とは1年半に渡り、面会や手紙で交流を続けていた。

――今まで事件のことを語ることはあった?

事件のことは三件について語ってはいるんですけれども、全て私はやっていないというような内容でした。

――それが(手紙では)真逆のことが書いてあるわけですね。

そうですね、驚きましたね。突然、「私がやりました。間違いありません」ということが記されていたので、本当に何があったのかって驚いた。

――何か異変はあった?

正直なかったですね。本当に私はやっていないと気丈に振る舞っている姿しか僕には見せてなかった。

 今井はこの手紙を公開することを望んでいたという。高木氏は自らのnote(ノート)で全文を無料公開しているが、ここでも改めて紹介したい。

 まず手紙は、自らの生い立ちを語るところから始まっている。幼少期の仲が良かった友達、初恋の相手のことなど、誰もが抱いているかのような思い出話が続いたあと、突然、自らの人生が暗転していく様が書かれている。

<中学生の頃はいじめられていました。具体的には、「ヒーハー(注:お笑い芸人・ブラックマヨネーズの小杉に似ていることから)」とか「口臭えよ」とかです。暴力的ではありませんが、すごく嫌でした>

 理由は定かではないが、このいじめは長く続いたという。そんないじめから抜け出す術を今井は“金(かね)”に見出したようだ。

<吹奏楽部の後輩を連れて、北海道と沖縄にも行っています。お金は、母親のクレジットカードを使いました。暗証番号を電話越しに伝えたら、それですんなりと購入ができてしまったのです。そのことがばれたの、確か母親からだったのですが、100万円近くクレジットカードの会社から明細書が届いてばれました。このころから金銭感覚がオカシクなっていたのかなと思います>

 親には当然のようにしかられた、というが、この一件で友達たちからは一目置かれるようになったそうだ。

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事件の「発端」となった体験