昨年のシーズン途中に野手から投手に転向した根尾
昨年のシーズン途中に野手から投手に転向した根尾
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 持っている才能は誰もが認めるが、プロの世界は厳しい。高卒5年目の中日・根尾昂は野球人生の分岐点を迎えている。昨年のシーズン途中に野手から投手に転向。今年は先発に挑戦して春季キャンプを2軍で迎えたが、シーズンに入っても1軍登板なし。根尾の現状について、中日を取材するスポーツ紙記者はこう語る。

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「昨年は怖いもの知らずの部分もあったと思います。相手も投手・根尾を知らないのでイケイケで抑えられた部分があった。高校時代から3年以上のブランクがあるにもかかわらず、マウンドに立って150キロを超える直球を投げられるのは凄い。でも先発転向となると、それだけでは通用しない。変化球の精度を高めないと長いイニングを投げられないし、投げるスタミナも必要です。打者との駆け引き、配球術も学ばなければいけない。実はキャンプ中にフォームのバランスを崩し、制球に苦しんでいました。ファームで短いイニングの登板が続いたのは、球団の方針がブレているのではなく、少ない球数から良い投球の再現性を高める必要がありました」

 今季初先発は5月27日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(ナゴヤ球場)。六回途中まで79球を投げて5安打1失点。3奪三振、2四球という内容だった。まだ制球にバラつきは見られるが、登板を重ねて改善していくしかない。今月13日の広島戦(同)では、2番手で三回から登板し、5回1/3で4安打4四球5失点。1軍昇格にはもう少し時間がかかりそうだ。

 大谷翔平(エンゼルス)が投打の二刀流で異次元の活躍を見せるなか、大阪桐蔭時代の根尾も投打でズバ抜けた能力を発揮していた。同学年の藤原恭大(ロッテ)、柿木蓮(日本ハム)、横川凱(巨人)らと共に2年春、3年春夏と全国制覇に大きく貢献。「大阪桐蔭最強世代」の中心選手だった根尾はマウンドに立てばエース格として安定した投球を見せ、打席でも広角に打ち分ける打撃技術で中軸を担った。将来を嘱望される逸材に、ドラフト1位でヤクルト、日本ハム、巨人、中日の4球団が競合。与田剛前監督が当たりクジを引き当て、「スーパースターのような選手なので、これからの野球界を背負ってもらいたい。いろんな形で活躍してもらいたいと思います。ぜひドラゴンズのユニホームを一日でも早く着て活躍しましょう」と呼びかけていた。

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明らかに伸び悩んでいた