自宅学習するユウ君。音や「波」を遮るため部屋に張ったテント内で勉強している=家族提供
自宅学習するユウ君。音や「波」を遮るため部屋に張ったテント内で勉強している=家族提供

■才能と障害、二つの「特別」

 私がユウ君のことを知ったのは、母のブログがきっかけだった。母は22年1月から、「ちょっぴりギフテッド」というタイトルでユウ君のことをつづっている。目がとまったのは、「2Eギフテッド」という言葉があったためだ。

 2Eとは「twice-exceptional」の略で、「二つの特別」「二つの特別支援を要する」といった意味がある。「ギフテッド」のような飛び抜けた才能と、発達障害といった学習に支障がある障害を併せ持つ子どものことをいう。例えば、教科書の文字の読み書きはとても苦手だが、目で見たものをすぐに記憶して表現する力が優れているといった具合だ。

 ユウ君の場合がまさにこれだった。

 実際に会ったユウ君は、少し小柄だが、見た目はごく普通の少年だ。ランドセルを背負って歩いていれば、学校帰りに公園で遊んでいる小学生と思われても不思議はない。

 だが母によると、特に目と耳の感覚が敏感で、知らない人と話したり、人混みの中で電車に乗ったりするとすぐに疲れてしまい、日々の生活に困難が多いという。学校は、小2の3学期からほとんど行っていない。勉強は、母が自宅で全教科を教えているという。

 母はブログで「息子をどうやって自立させてあげられるのか、不安や悩みは尽きませんが、とにかく元気で過ごすのが一番大事だと、毎日の自然観察に付き合っています。不登校などで悩んでいる、パパ・ママさんたちに、少しでも参考になることがあれば」と書いていた。

「感覚が敏感な原因はわかっているのですか?」と聞くと、母は首を振った。

「『ギフテッド外来』というクリニックや、眼科、耳鼻科などあちこちで診てもらいましたが、『特殊』と言われるだけで、原因はわからないまま行き詰まっていました。もしかしたら似たような親子がいてつながれないかと思い、ブログで発信することにしました。親の私でも理解できないことがありますが、好きなことがあって、それをできているのはありがたいことです。息子の言うことを信じて寄り添うしかないと思っています」と母。

 息子のために何とかしたいが、どうすればいいのかわからない母の切実な気持ちがひしひしと伝わった。

■「音が痛くてつらい」

 ユウ君は、盛岡市で生まれた。引っ込み思案で、公園に連れて行っても、他の子が遊んでいると「んー、やだ」と言って近づけないような、慎重な性格だったという。

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クラクションの音にも敏感に