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「貯蓄から投資へ」というスローガンが叫ばれるようになって久しい。「老後資金は自分で用意してほしい」という国の方針で制度設計が進められたiDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税精度)を活用する人も急増している。

【図解】スッキリわかる!  iDecoとNISAのメリットはこちら

 ファイナンシャルプランナーで、投資初心者アドバイザーの肩書を持つ竹内弘樹さんはこのiDeCoとNISAについて、監修を務めた『貯金0円からのiDeCo・NISA入門』で「内容を理解して対策や実践をするのとしないのでは、手元に残るお金に雲泥の差がつく」と話し、これらを利用する人たちの疑問や相談に応じている。

 この記事では、そのQ&Aのいくつかを特別に公開。自分の運用はいまのままでいいのか、確認してみてほしい。

文具メーカー正社員 Y.Kさん(32)の場合

【相談】  企業型年金がない勤務先で、4年前から月2万円の掛け金でiDeCoを開始。現在は、全世界株式のインデックスファンドと国内株式のアクティブファンドに毎月1万円ずつを投資していて、どちらも利益が出ています。iDeCoは同額の掛け金のまま継続するつもりですが、最近は米国株が好調だと聞くので、これらをいったん売却して利益を確定したいです。代わりに米国株中心の商品を運用して、また利益が出たら、別の商品にしてみようかな、と考えています。

【回答】 「保有商品を売って利益を確定したい」または「損失が増えたので売却して、ほかの商品に買い替えたい」という希望を持つことはあるでしょう。iDeCoでは、「スイッチング」により保有中の運用商品を解約・売却して、ほかの運用商品へ資産を移行できます。ただ移行先が投資信託では、利益の確定にはなりません。同額の米国株中心商品に資産が移るだけで、今後の運用次第で資産が減ることも考えられます。

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iDeCoで「利益確定」のデメリット