iDeCoは原則として60歳までは引き出せないので、生活費に困るような掛け金にするのはやめたほうがいいでしょう。拠出額は年1回までなら変更できるので、検討してみてください。なお、掛け金は毎月拠出するのが原則ですが、年に1回まとめて拠出したり、ボーナス時の額を増やしてほかの月を減額したりすることもできます。拠出を一時的にストップすることも可能ですが、拠出を止めても口座管理手数料はかかり続けるので注意が必要です。
医療事務(パート)K.Tさん(28)の場合
【相談】 私は家族の扶養に入りながら、所得税の課税が発生しない、いわゆる「103万円の壁」を意識して働いています。先日、ほかの用件でメインバンクの窓口を訪れたところ、iDeCoを勧められました。帰宅後、自分でも調べてみたら所得税を支払っていない人にはメリットがないという記述を見つけ、迷っています。月2万3000円は小さな額ではないし、メリットがあるか理解したいです。
【回答】 掛け金が全額控除になるiDeCoですが、所得税支払いがなければ関係ありません。60歳まで引き出せず、運用期間中に手数料がかかる点を考えると、iDeCoよりつみたてNISAがよさそうです。ただ103万円の年収でも、iDeCoを上限まで行えば、2万3000円× 12 カ月=年間27万6000円収入をアップできます。収入が130万円まで増えても、所得税がかかりません。
年収103万円以下の人と103万円を超えて130万円以下の人でメリットが異なります。103万円以下で働く人は、所得税が非課税のため、所得税の減税効果は受けられません。ただし、住民税が課税されているなら、住民税の減額効果があります。年収103万円を超えると所得税・住民税が課税されるため、掛け金による減税効果が受けられます。
竹内さんは『貯金0円からのiDeCo・NISA入門』の中で、「iDeCoと退職金を一緒に一括で受け取りたい」というS.Wさん(59)や、「米国株がキテるときいたので、米国株と米国ETFにのみ投資している」というN.Yさん(31)などにも回答している。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂/イラスト ヤス・タグチータ プレミアム)