■介護保険では「適用外」
介護保険は利用の制限が厳しい。介護保険に詳しい東洋大学の高野龍昭教授は言う。
「社会保険制度ですので、保険給付の対象範囲は厳密に定められています。美容室、散歩への同行も含めて、個人の楽しみに関する支援は原則として適用にならないのです」
一方、障害者などが対象の「障害福祉サービス」は社会福祉制度であるため、映画を見に行くといった余暇活動に、移動支援が公的な制度として利用できる。
「ただ、サービスの対象者となるか否かの事前審査に1カ月程度かかります」(高野教授)
そこで、民間のサービスが出てきている。介護サービスに詳しい日本総研リサーチ・コンサルティング部門の紀伊信之部長に推し活に使えそうなサービスを教えてもらった。
首都圏で展開する「ドコケア」の外出サポートサービスは1時間あたり、看護学生らケアスタッフなら1980円、介護職は2980円、医療職は最大4980円で利用できる。
「トラベルヘルパー」という民間資格を持つ介護スタッフが旅行に同行するサービスも。東京や青森などに拠点がある「あ・える倶楽部」は要介護1、2の人なら1泊2日で約7万円だ。福祉の便利屋を利用するのも手だ。「御用聞き」なら5分100円からと手軽だ。厚生労働省などが作った「保険外サービス活用ガイドブック」には各地のサービスがまとめられている。
「利用している訪問介護事業所に聞くのもいいでしょう。介護保険サービスと違って全額自己負担になりますが、担当スタッフが対応してくれたら安心です」(紀伊部長)
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年7月3日号