統一地方選、衆参補欠選が終わり、岸田文雄首相の次の大きな政治日程は、5月19日から始まる広島サミットだ。これが無事終われば、衆院の解散にいつ踏み切るのか。永田町の話題はそこに尽きる。取材を進めると岸田首相は、ある2人の“大物”の動きを警戒しているという話が聞こえてきた。
自民党総裁の任期は来年9月まで。岸田首相も広島サミット後の解散のタイミングについては当然、考えているだろう。にわかにささやかれているのが、安倍晋三元首相が奈良市で銃撃された7月8日近辺だ。
「安倍元首相の事件から1年に合わせて、最短なら7月9日の日曜日といった声も党内では聞かれる」
と、ある自民党幹部が話した。
その日付が現実的かどうかは別として、岸田首相としては急ぎたい事情がある。
「もし次の解散・総選挙の一発で政権交代があるとすれば、維新と小池百合子・東京都知事の“薩長同盟”じゃないか」
と前出の自民党幹部が警戒感を口にする。
先の統一地方選で、維新の首長と地方議員は774人となり、おひざ元の大阪だけでなく奈良県知事選や衆院補選・和歌山1区も勝利した。
そして、小池知事が特別顧問を務める「都民ファーストの会」は、都内の区市村議選の公認候補60人のうち44人が当選して議席を倍増させている。三鷹市長選と豊島区長選でも、推薦候補が当選した。
「小池知事も70歳となり、政治家として集大成の時期です。解散・総選挙なら、東京都は小選挙区の『10増10減』の区割り変更で選挙区が増えます。大きな勝負に出るとしたら、新しい区から出馬して、都知事の後継には橋下徹氏に声をかけ、最終的には都民ファーストと維新を合体させて政権奪取に、という狙いです。SNSなどで“橋下都知事”という話が流れていましたが、まったく根拠のない話ではないです」
と小池知事に近い人物が話す。
橋下氏の政界復帰もあり得るということだ。橋下氏はSNSで、自身が大阪府知事時代に打ち出した「大阪都構想」について、
<東京府と東京市が一つになって都になるまで50年。そこから区が自治体として認められるまでさらに50年。今の東京都になるには100年かかった。それを一気にやるのが大阪都構想。まだ10年の運動。府議会、市議会で過半数。さあいよいよ大阪都構想の実現へ>(4月10日)
と投稿している。