カタールW杯のコスタリカ戦では引いて守る相手を最後まで攻めきれず、ミス絡みで0-1で敗れることになった。今年11月に始まる北中米W杯のアジア地区2次予選でも同様に相手に守られるケースが想定される。守備重視の相手のゴールをいかにこじ開けていくかは、日本代表の積年の課題。「相手が守備的なときにボールを動かしながら崩していく、数的優位を作っていくのはわれわれが今回準備したこと。それをこの試合では表現できた」と指揮官は手応えを口にした。

 この日は右サイドで久保、堂安、菅原がポジションを入れ替えながら攻撃の流れを作り、左サイドではかつて川崎フロンターレで共にプレーした三笘と旗手、そして大学選抜で二人と一緒にプレーした森下龍矢(26)がローテーションして攻撃に変化を加えた。

■次へつながる手応え

 森保監督も「流動的に戦っていくというところはトレーニングの中で確認してきたこと。非常に意思疎通がとれてきて、いい形になったと思います」と両サイドの連携・連動を称賛した。

 途中出場の選手たちも試合の流れにすぐ乗って縦を意識したプレーを実践し、先発の上田に続き、中村敬斗(22)が代表初ゴールを記録。古橋亨梧(28)も2年ぶりにネットを揺らし、森下と試合前日に追加招集された伊藤敦樹(24)が代表デビューを飾った。

 代表戦の数そのものが限られる中、強化試合という側面を考えれば11人対11人で戦えた方がより多くの実りを得られたのかもしれない。それでも準備してきたものをピッチで表現し、多くの選手を試すことができた意味は大きい。

 次戦、20日のペルー戦は相手の強度が高く、その中でボールをどう動かすかにトライすることになるだろう。先発の顔ぶれが大幅に変わると予想されるが、この試合でつかんだ手応えは間違いなく次へとつながっていく。(ライター・佐藤 景)

AERA 2023年6月26日号