前半25分、三笘薫からのラストパスを左足で決めた久保建英(右から2人目)。1ゴール2アシストの活躍を見せた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
前半25分、三笘薫からのラストパスを左足で決めた久保建英(右から2人目)。1ゴール2アシストの活躍を見せた(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
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 サッカー日本代表がエルサルバドルに6-0で圧勝した。日本の積年の課題は守備重視の相手をいかに崩していくか。試合後、指揮官は手応えを口にした。AERA 2023年6月26日号より紹介する。

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 3月の活動でウルグアイ、コロンビアという南米の強豪国との2試合に臨み、1分け1敗に終わった第2次森保ジャパンが3戦目にして初勝利を挙げた。

 最新のFIFAランキングで日本が20位であるのに対し、相手のエルサルバドルは75位。そこに実力差があったのは確かだろう。しかも開始早々の3分に相手が退場者を出し、日本は試合のほぼ全ての時間で数的優位な状況にあった。

 それでも6-0の圧勝劇は、日本代表チームの前進を示すものだったと言っていい。

「この試合に向けて選手、コーチ陣をはじめとするスタッフ全員が3月の代表戦の反省を踏まえて、どういう準備をしたらいいのか考え、最善の準備ができたのはよかったと思います」

 森保一監督(54)が言う3月の代表戦の反省とは、ボール保持に固執して、攻撃の優先順位を誤ったことを指す。

 昨年のカタール・ワールドカップではドイツ、スペインという強豪国を破りながら、4度目のベスト16敗退となった。そこで足りないと痛感したのが、ボールを奪った後に攻撃をビルドアップする力や試合をコントロールする力だった。

■推進力をもった動き

 その点を踏まえて3月シリーズではボールをしっかり保持して動かすことをテーマとし、サイドバックが内側に入り込んでビルドアップに絡むという新戦術にもトライした。

 しかし、そのことで攻撃の優先順位が崩れてしまう。

「ボールを保持してコントロールし、勝利の確率を上げたいということで3月も6月もトレーニングをしました。3月と6月の違いは、より縦に速い攻撃、チャンスがあればゴール前に(ボールを)入れていく、選手もゴールに向かっていく、ボールを追い越す動きをもっと多くしようと準備したことです。コーチ陣が選手によく働きかけてくれて、選手たちもクリアなイメージを持ちながら推進力をもった動きをしてくれました」

 指揮官の言葉通り、エルサルバドル戦では選手の意識面が変わっていた。ボールを持ったら縦方向へプレーすることを優先し、状況を踏まえて次のプレーを選択し続けた。

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