第5回WBCで最優秀選手(MVP)を受賞した大谷。米国との決勝戦は「3番・指名打者」で出場し3打数1安打。9回には指名打者を解除して3大会ぶり世界一の胴上げ投手に(AP/アフロ)
第5回WBCで最優秀選手(MVP)を受賞した大谷。米国との決勝戦は「3番・指名打者」で出場し3打数1安打。9回には指名打者を解除して3大会ぶり世界一の胴上げ投手に(AP/アフロ)
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 投打で異次元の活躍を続けるエンゼルス・大谷翔平選手。来季はどのチームでプレーしているか──。今オフにフリーエージェント(FA)になる大谷選手の去就に早くも注目が集まっている。AERA 2023年6月19日号の記事を紹介する。

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 大谷翔平は4月中旬に敵地・ヤンキースタジアムで対戦したヤンキース戦の試合後の囲み取材でニューヨークの街について質問され、「1回も出たことがないので分からないです」と明かして話題になった。このコメントは大谷の野球に対する向き合い方、人生観を表していると言っても大げさではないだろう。

 大谷を日本ハム時代から取材するスポーツ紙記者は、こう語る。

「若手の時から体調管理を徹底し、休日は体のメンテナンスに時間を割いていた。ストイックに自分を律する選手はいますが、あそこまで徹底している選手はなかなかいません。メジャーで活躍してもコンディションを整えるために、睡眠や体作りを大事にする姿勢は全くブレていない。野球が大好きだから、私生活で我慢しているという意識もないのでしょう。年俸もそこまでこだわりがないと思います。二刀流で自分が最大限輝ける環境でプレーしたい。メッツやヤンキースは豊富な資金力で知られますが、大谷の性格を考えると温暖な気候の西海岸でドジャースや、金銭面で少し条件が落ちるかもしれませんがパドレス、ジャイアンツに移籍する可能性の方が高いと思います。もちろん、自分を育ててくれたエンゼルスで優勝できる未来が見えるなら残留も選択肢の一つでしょう。日本ハムからエンゼルスに移籍した時のように、意外な球団に移籍する可能性も大谷の場合は考えられます」

■17年オフは意外な決断

 日本ハムでポスティングシステムを利用してMLBに挑戦することを表明した17年オフ。大谷は「意外な決断」で日米のメディアを驚かせた。獲得に名乗りを上げたメジャー10球団以上に対する書類選考を経て、7球団と最終面談へ。イチロー(現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が歴史を築いたマリナーズ、黒田博樹、石井一久(楽天監督)、前田健太(ツインズ)ら日本人投手がプレーしたドジャースが有力候補と目されていたが、大谷が移籍先に選んだ球団は02年のワールドシリーズ優勝以来、頂点から遠ざかっていたエンゼルスだった。

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