プロジェクトが終わってからは、おもちゃは息子と千惠さん、キッチンは千惠さん、リビングは夫、という風に自然と分担して片づけてから寝るようになったと言います。
散らかっていても何も気にしなかった千惠さんは、今ではモノが1つ落ちているだけで気持ちがざわつくようになりました。きれいな状態でいないと落ち着かないそうです。
夫は今、千惠さんの職場復帰に合わせて1ヶ月の育休を取得中。立場が逆転して、夫が家事をしてくれています。こうしてみて、初めて気づく夫の気持ちもありました。
「仕事から帰ってきたときに家が散らかっていると、文句を言いたくなる夫の気持ちがわかりました。『ずっと家にいるのに何してたんだよ』ってなりますよね。たぶん、夫も一緒。夫の育休が終わったら元の立場に戻るので、そのときはお互いに気づかい合えそうです」
千惠さんは、今後は子どもたちも片づけを習慣化していきたいと笑顔で話してくれました。
「今までは、自分ができないから子どもたちにも言えなかったんですよね。でも、今は自信を持って『片づけよう』って言えるし、片づけ方を教えてあげられる。散らかった家を知らない子に育ててあげたいです」
千惠さんが45日間で家を片づけられたのは、持ち前の素直な気持ちがあったからこそ。現状を変えたいのなら、今までと同じことをしても変わりません。私たちの話を聞いて、素直に実行してくれたから、今の千惠さんの笑顔があるのだと思います。
「私は、片づけられないことが自分のコンプレックスにさえ思っていなかった。もし片づけで悩んでいる人がいるならば、私よりも進んでいますよね。あとは一歩踏み出すだけですから」
今は、夫と将来の夢をゆっくり語り合うほど気持ちの余裕ができたそうです。自分を変えられる経験を積んだ千惠さんとご家族なら、どんな大きな夢も叶えられそうですね。
※AERAオンライン限定記事
●西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクト?」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等で講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。