※写真はイメージ(gettyimages)
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 離婚した夫婦の同居期間が「20年以上」の割合は約70年間上昇傾向にあり、2020年では21.5%となっている。熟年離婚せず寄り添って暮らしていくためには。AERA 2023年6月5日号から。

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 女性の悩みに特化したライフスキル講座LSYを開発し、講座を運営する駒村利永子さんは7年前、40代で再婚。5歳上の夫は再々婚だ。夫婦の老活について尋ねると、すぐ返ってきたのが「パートナーは一番近い赤の他人」。

「長年一緒に暮らしていても、エスパーではないのですから『私の気持ち、察してよ』じゃ駄目。私たちは双方とも離婚経験があり、同じしくじりをしないため、自分が何をうれしく楽しいと感じているか、言葉で伝えることを肝に銘じています」

 結婚したばかりの頃こんなことがあった。スノーボードを好きな夫が、「(お金もかかるし)婚約指輪はなくていいよ」と気遣った駒村さんに、スノーボードの道具一式をプレゼント。雪山へ行くことになった。

「好きでもないのに40代で初めてスノーボードをすることがどれだけ酷か。でも夫にとっては、『喜ばせようと思ってしているのに、なんで俺の気持ちが分からないんだ』。帰りの車で大喧嘩になりました」

 以来、「ありがとう。でも、私はこうしてくれるともっとうれしい」と、感謝しつつ、しかし自分の気持ちを具体的に伝えるようにしている。大切な内容であればあるほど、ソファに隣同士に座り、相手の体に手を添えながら。

「夫婦の老活で重要なのは、他力と可愛げ。こう言うと特に昭和生まれの女性は『ぶりっこ』『撫で声』などとマイナス方向に捉えがちですが、そうではないのです。加齢とともに体力も気力も落ちていきます。笑顔で人に頼り、やってもらうことを増やし、身軽になっていかないと」

■相手を褒めた方がいい

 記者の友人は、夫が家事をするたび「白米の水加減、絶妙!」「磨いてくれたグラス、ピカピカ!」「ちょうど冷奴気分!」と感嘆の声を上げていたところ、夫がめきめき家事の腕を上げた。今では夫が家事のほぼすべてを担当。仕事から帰ると夫手製の料理が食卓に何品も並んでいる。友人曰く、「私がやるのは、私が飲むビールのプルタブを開けるだけ。超幸せ」。

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