コロナ禍で在宅ワークが普通になり、男性の育児休暇取得も少しずつ増えてきて、柔軟な働き方も受け入れられるようになってきました。私自身も、子育てをしながら、持続可能な政治活動をしてきました。
これまでは「子育て支援は票にならない」「投票に行く高齢者に施策を訴えた方がいい」といった考え方もありましたが、それも変わりつつあるのではないでしょうか。
子育て支援策の充実がすべての世代にとっていかに大切であるか受け入れられるようになってきました。35年後には、およそ現役世代1人が高齢者1人を支える時代になります。この状況を脱却しなければという危機感が共有されてきたのではないでしょうか。
■次の世代にバトン渡す
けれども、管理職に占める女性の割合は12%。リーダー層の多様性にまだ課題があります。
政治は、子育てや介護を担っていたり、社会で生きづらさを感じている普通の人こそがやるべきです。生活者感覚を持つ、そして世の中の課題に気づいた人が政治の世界に踏み出すことで、社会は変わっていくと思うのです。
35年後、私は80歳近く。早い時期に次の世代へバトンを渡したいと思います。退かないと次の世代が活躍できないことは、上の世代を見てきて思いますから。だからこそこの10年15年で、いまできることをし、ギャップを解消すべく動いていきたいと思っています。
高度経済成長期のように、物に囲まれることが幸せとは言えなくなりました。一人ひとりが生きがいを感じて自分らしく生きていける、人としての幸せを実感できる豊かな社会をつくっていく。いまがその過渡期だと思うのです。
(構成/編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年5月29日号