中学受験者数の増加の背景には、私立校のコロナの一斉休校への対応の速さや、大学入試改革への対応力などが評価されているという
中学受験者数の増加の背景には、私立校のコロナの一斉休校への対応の速さや、大学入試改革への対応力などが評価されているという

「マスコミなどに頻繁に登場すると、話題になって志願者が集まりやすくなります。ただ開校したばかりだと過去のデータがないので偏差値がつけづらく、見誤ることがある。公表された偏差値より本人の偏差値が高くても、高倍率になれば不合格になってしまうこともある。受験をするのなら、塾などの先生によく相談した方がいい」

■コロナ後の経済も影響

 来年のトピックは横浜雙葉(横浜市)が、2月2日に入試を新設すること。フェリス女学院(同)、横浜共立学園(同)とともに神奈川女子御三家とされるが、昨年の入試倍率は1.7倍とここ数年志願者が減少気味だった。入試日程を2日間設けることで、巻き返しをはかる。

「歴史のある伝統校で、ずっと入試日程が2月1日だっただけに影響は大きい。鎌倉女学院(鎌倉市)、湘南白百合(藤沢市)あたりに影響を及ぼしそうだ」(安田さん)

 さらに開智所沢中等教育学校(仮称)が、東所沢に新規開校する。私立の中高一貫校が少なかったJR武蔵野線沿線だけに、中学受験の掘り起こしが期待されている。

 来年の入試では志願者が増加、減少と二つの予想に分かれている。入塾する児童は増えているものの、小学6年生が5千~6千人減少するからだ。中学受験は、景気によっても左右される。アフターコロナの経済の行方も影響を及ぼしそうだ。(教育ライター・柿崎明子)

AERA 2023年5月15日号より抜粋