オリジナルを交え、新曲にも挑戦した「023」のステージ。ファンも3色のペンライトを振るなどして、華やかな時間を楽しんだ(撮影/伊ケ崎忍) 星屑スキャット/ミッツ・マングローブ(写真右)、ギャランティーク和恵(同中)、メイリー・ムー(同左)による音楽ユニット。2005年結成。ポップな楽曲とハーモニーで高い評価を集める。昨年12月にシングル「駅/TATTOO」をリリース。5月からツアーを開始するなど精力的に活動を続ける
オリジナルを交え、新曲にも挑戦した「023」のステージ。ファンも3色のペンライトを振るなどして、華やかな時間を楽しんだ(撮影/伊ケ崎忍) 星屑スキャット/ミッツ・マングローブ(写真右)、ギャランティーク和恵(同中)、メイリー・ムー(同左)による音楽ユニット。2005年結成。ポップな楽曲とハーモニーで高い評価を集める。昨年12月にシングル「駅/TATTOO」をリリース。5月からツアーを開始するなど精力的に活動を続ける

メイリー:私は今でもごっこ遊びが大好きです。ごっこ遊びに徹している私を見て、お客様がそこからはみ出した何かに新しさや面白さを感じていただければ、うれしいですね。

ミッツ:結成した頃の初期衝動の面白さ、未知数的なものは、続ければ続けるほど失われていきますし、退屈度は高まってしまいます。受け手側が期待する星屑スキャットを私たちが意識し始めたら、とてもつまらないものになる可能性があります。送り手と受け手の求めるものが一致するのは、安定していますし、幸せな関係かもしれません。でも、仮に期待というものがあるのだとすれば、私はそれを裏切るための何か違う一手を捻り出したい。受け手との関係に緊張感を持たせたいんです。その気持ちがモチベーションになっていますし、矜持のある関係を保ちたいとは常に思っています。

──ライブはチケットが完売になるほどの人気です。今回のツアーの見どころは?

ミッツ:私たちはテーマを提示しないんです。何かを提示したとたん、イメージが限定されてしまいますし、その「不親切さ」は芸能にとって大事なことだと思っています。

 じつは最近、女装した3人がステージで歌っていることが奇跡に思えてきました。というのも、私が去年の秋頃から、女装がすごく恥ずかしくなってきたんです。

メイリー:えっ! 本当ですか。

ミッツ:「女装」という不自然な行為や欲求に対して、漠然と「恥ずかしい」と。今さらながら我に還るというか。でも、歌の世界に投げ打ってしまえばその気持ちは消えるというのに気づいて、これまた今さらながら私は和恵さんとメイリーさんに依存しているんだなぁ、とあらためて感じる今日この頃です。

メイリー:私は女装を始めた頃、世間に対して自分が抱えていたものを吐き出すような、「これでも食らえ」みたいな気持ちだったんです。その攻撃的なエネルギーがだんだん減ってきていることは、私も感じます。ミッツさんの話を聞くと、いずれたどる道なのかなとは思いますけど、私はまだ女装が恥ずかしくなるほどではないかな。

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