カタそう、ムズカシそうと、敬遠する人もいる理系の世界。そんな取っつきにくさを取っぱらうべく奮闘する店がある。今回は、サイエンスの雰囲気を“形から”楽しむ方法を提案するカフェ「理科室蒸留所」をご紹介。
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職人の新しい仕事を作りたい。理化学ガラス製品メーカーの関谷理化は新たな挑戦として、オリジナルの蒸留器や水出し装置を開発し、テイクアウトのドリンクスタンドを開いている。
シャーレやビーカー、フラスコが所狭しと並ぶ店内は、怪しげな研究室……とは程遠い、おしゃれ空間。なかでも目を引くのが、実験用のスタンド(支柱)で組まれた、ツインタワーのような2台の「水出し珈琲(コーヒー)装置」だ。丸底フラスコに入れた水が、らせん状に曲げたガラス管を通り、シリンジ内のコーヒーに到達。1秒1滴のペースでゆっくり抽出する。加熱しないため、えぐみや苦みの少ない味わいが売り。驚くほどするりとのどを通り抜ける。
スタイリッシュな装置に魅入られて、自宅でのDIYに挑む上級者も。店のはす向かいには、インテリア用品として楽しめる理化学器具を販売する姉妹店「リカシツ」があり、必要なパーツを調達したり、オーダーメイドで職人に作ってもらったりできる。
大きさも形も様々な透明の理化学ガラスに、無限の可能性が映る。
理科室蒸留所/東京都江東区平野1-13-12
リカシツ/同1-9-7 フカダソウ102
(取材・文/本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日 2023年5月19日号