※写真はイメージです(Getty Images)
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 戦後70年に渡って維持してきた現代の学校というシステム。しかし、「一斉授業」というスタイルは20年前からすでに無理があったのだ。社会全体の無理な要請に応えようとして学校がウソをついている、と指摘するのは教育改革実践家の藤原和博氏だ。藤原氏の新著『学校がウソくさい 新時代の教育改造ルール』(朝日新書)では、学校が「本業回帰」でよみがえるために、複雑になりすぎたシステムをもっとシンプルに問い直し、学校を再定義していく。その内容を、同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。

【図表】文科省が行った「教師不足の実態調査」結果はこちら

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■学校を再定義する

 まず、学校と先生の役割をもっと絞るべきだろう。

 それをしないで「児童生徒の全人格を……」などと不可能なお題目を唱えているから、キリのない仕事に際限なく追い詰められてしまうのだ。

 改めて、シンプルに問い直そう。

「学校とは何か?」

 学校とは、何をする場所なのか? 何を成し遂げれば、5兆円以上の税金投与がきちっと成果を上げたと評価できるのか?

「先生とは何か?」

 どんな仕事をする人のことを言うのか? 何を成し遂げれば、その年収に足る成果を上げたと評価できるのか?

 初めに結論を述べてしまおうと思う。

 私の言葉遣いでは次のようになる。あなたは納得できるだろうか? より良く納得できる言い方があれば、もちろんあなたなりに言い直してもらって構わない。ただし、一行でだ。でないと、みんなが覚えられないから。覚えられないものは、目指せないから。

「学校」とは、児童生徒に、良い習慣をつける装置である。

「先生」とは、児童生徒の、できないことをできるように、わからないことをわかるようにする仕事をしている人である。

 今一度、問い直す。

 学校とは、何か?

 普通なら、もっと大所高所から定義しようとするだろう。すると、「教育基本法」が登場する。「教育基本法」によると、教育の目的は次のようになる。

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義務教育の目的はどんなものか