(教育の目的)
【第一条】教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
なるほど、その通りなのだが、これでは守備範囲が無限に広がってしまう。
義務教育については、こんなふうに書かれている。
(義務教育)
【第五条】2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
どうやら、「自立的に生きる」基盤をつくるのが、大事なようだ。
これは納得できる。この文言を決めるのに、「自立」か「自律」かで大論争が起きたことも想像に難くない。今だったら、「自分で主体的、協働的に学習できる」という意味を込めて、「自律」の文字の方がよりニュアンスが伝わる気がする。
さらに、学校教育はこのように規定されている。
(学校教育)
【第六条】2 前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。
つまり、「学校生活を営む上で必要な規律を重んずる」というのは、学校で行なわれる「生活指導」のことを指し、「自ら進んで学習に取り組む意欲を高める」というのは、「学習指導」のことを指している。
生活指導というのは、小学校であれば、挨拶をしましょうとか、手を洗いましょうとか、靴の踵を踏んで歩かないとか、給食はなるべく綺麗に食べるとか、廊下を雑巾掛けするときはこんなふうに雑巾を絞り、こんなふうに拭きましょう……というようなことを含む。