与えた四死球はわずかに1と、課題だったコントロールに改善が見られたのは大きなプラス要因である。またストレートは140キロ台前半が多かったものの、試合が行われたのがスピードガンの数字が出づらいことで知られる県営大宮球場だっただけに、気にする必要はないだろう。チームの先発投手陣は大黒柱の大野雄大が故障で長期離脱となり、福谷浩司も二軍で調整中のため、鈴木にとっては今が最大のチャンスである。今後もこの西武戦のような投球を続けて、先発ローテーションに定着することを期待したい。

 鈴木と同じく高校から社会人に進み、上位指名でプロ入りしながらも苦しんでいるのが杉山一樹(三菱重工広島→2018年ソフトバンク2位)だ。プロ入り3年目の2021年には最速160キロをマークして話題となり、首脳陣からもファンからも期待は大きいものの、昨年も10試合に登板(先発は9試合)して1勝3敗、防御率6.80と結果を残すことができなかった。今年もキャンプ中に右肘を故障し、開幕からリハビリが続いている。

 6月3日に行われた三軍の対愛媛マンダリンパイレーツ戦で復帰し、1回を無失点に抑えたものの2つの四球を与えてピンチを招くなど、内容は芳しいものではなかった。まだ調整段階のためここから調子を上げていくことももちろん考えられるが、プロ入り直後から課題と言われてきたコントロールに改善が見られないのは苦しいところである。今年でプロ入り5年目の26歳。中堅と言える年齢に差し掛かっているだけに、首脳陣の期待が高い間に何とか結果を残したいところだ。

 同じソフトバンクで、野手で苦しんでいるのが佐藤直樹(JR西日本→2019年ソフトバンク1位)だ。高い運動能力とパンチ力が期待されて入団したものの、昨年までの3年間で一軍ではわずか4安打、打率.100と結果を残すことができていない。今年は開幕から一軍に帯同し続けており、ここまで38試合に出場して5安打を放っているものの、打率.167と目立った成績は残せていないのが現状だ。

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