中日・鈴木博志(左)とソフトバンク・杉山一樹(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/福岡ソフトバンクホークス)
中日・鈴木博志(左)とソフトバンク・杉山一樹(右)(写真提供・中日ドラゴンズ/福岡ソフトバンクホークス)

 今年も多くの若手、ルーキーがブレイクしているプロ野球。しかし入団時にいくら高い期待を受けていても、数年間結果が出ないと立場が苦しくなるのもこの世界の常である。そんなドラフト上位でプロ入りしながら、今年が正念場と言える選手をピックアップしてみたいと思う。

【写真】巨人を出たことで輝きを取り戻した選手がこちら

 今から6年前の2017年は清宮幸太郎(早稲田実→日本ハム)に7球団が競合して話題となったが、もう1人高校生で2球団が競合したのが中村奨成(広陵→広島)だった。3年夏に出場した甲子園では清原和博(PL学園)の1大会5本塁打を上回る大会新記録の6本塁打を放ち、チームの準優勝に大きく貢献。またその強肩とフットワークは超高校級の評価を得ており、地元広島が抽選を引き当てている。

 プロ入り4年目の2021年に一軍初ヒットを放つなど39試合に出場して打率.283(53打数15安打)と開花を予想させる結果を残したが、昨年は成績を落として二軍暮らしが続いている。今年も二軍では開幕から好調だったものの、4月27日に行われたウエスタンリーグの阪神戦で左足首を捻挫して負傷退場。現在はリハビリの日々を送っている。1学年上で今年は正捕手に定着している坂倉将吾との差は広がる一方という印象だ。これまでも他のポジションに挑戦しているが、チーム事情を考えると右の外野手は不足しているだけにその方が生き残る可能性は高いように感じられる。まずはしっかり怪我を治して、打撃でアピールして早期の一軍昇格を目指してもらいたい。

 その中村の“外れ1位”で指名された鈴木博志(ヤマハ→中日)も年々立場が危うくなっている1人だ。プロ1年目にはリリーフとしていきなり53試合に登板する活躍を見せたものの、翌年以降は低迷。ストレートは150キロを超えることは珍しくないものの、制球力がなかなか向上せず、一時はサイドスローに挑戦するなどフォームも度々変更している。そんな鈴木の光明となったのが6月6日の西武戦だ。今シーズン2度目となる先発のマウンドに上がると、西武打線を相手に6回途中まで無失点と好投。先発としてのプロ初勝利をマークしたのだ。

著者プロフィールを見る
西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

西尾典文の記事一覧はこちら
次のページ
160キロで話題となった投手は今…