開幕して2カ月ほどが経過したが軒並み野手の助っ人は苦戦している印象だ。打撃の個人成績を見ても、打率、本塁打、打点の主要3部門でトップ5入りを果たしている選手は今季が来日3年目となるオスナ(ヤクルト)が本塁打9本でセ・リーグの5位になっているのみ。

 外国人選手が結果を出せない原因は、なにが問題なのか、明確な答えを出すのは難しい。しかし1つ言えるのは日本野球のレベルアップが関係しているということだ。

「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)世界一の実力はダテではない。各球団の主力級投手はMLBのエース級にも決して負けていない。簡単に打ち崩すのは難しい」(在京テレビ局スポーツ担当者)

 米国で活躍する大谷翔平(エンゼルス)、ダルビッシュ有(パドレス)、菊池雄星(ブルージェイズ)、そして1年目の千賀滉大(メッツ)らは、NPB時代から飛び抜けた存在だった。だが、NPBで一線級だった彼らが米国に移籍しても、それに負けない素材が、昨今の日本球界にはどんどん現れ始めている。球速もかつては夢の数字だった160キロをマークする投手も続々登場している。

「球団によっては先発の1、2番手と5、6番手では実力差があった時期もあった。しかし最近は先発陣全員が高いレベルにある。ブルペンも同様で、いわゆる敗戦処理はいないと言ってもいいほど。来日1年目など、対戦経験が少ない外国人選手には打ち崩すのはタフな作業」(在京球団編成担当者)

 また、投手陣のレベルアップに加え、日本野球の強みの1つである情報戦も挙げられる。相手チームを徹底的に研究するスカウティング技量の高さが助っ人たちにとって大きなハードルになっている。

「オープン戦、公式戦序盤を通じて、徹底的に研究される。最初は打たれても、得意、不得意を調べ上げる。開幕1カ月ほどでデータは揃って攻め方が決まるので、交流戦前後から結果が出なくなる。そこから上手く対応できなければ、結果が残せないまま終わってしまう」(MLBアジア地区担当スカウト)

「データに沿った攻め方を狂いなく徹底できるのも日本人投手の強み。WBCでもわかったように個々の球威、技術が高まっているのは間違いない。その上で弱点を徹底的に攻められれば簡単には打てない」(在京テレビ局スポーツ担当者)

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今後も“苦戦”は続くのか…