「昨年、アメリカでは日本と同じくA香港型の小流行が、6月中旬まで続きました。各地の大学で学生がインフルにかかったというニュースをやっていました」

 例年の流行と比較すると、小規模の流行だったが、患者数の推移を示すグラフは変わった形をしている。感染のピークが二つあるのだ。

「冬にピークがあり、いったん下がった後、春にまた増加して、『フタコブラクダ』のようなグラフを描いています。例年とは異なる流行のパターンとなった原因としては、新型コロナの流行との干渉、人々のインフルへの免疫低下、マスク着用といった新型コロナ対策などの影響が考えられます」

 インフルの流行は6月中旬に収まったものの、また次の流行が10月に始まった。しかも、ピーク時の感染者数は例年の2倍ほどにまで膨れ上がった。

「まだ最終的な報告は出ていませんが、10年に1度の大流行といわれ、騒ぎになりました」

■この秋は大規模な流行か

 話を日本に戻そう。

「昨年、欧米諸国では5、6月までインフルが流行しましたから、日本でも同様にもう少し流行が続くと思われます。ただ、これからは本格的な夏になりますから、全国的にインフルが広がっていくような状況にはならないでしょう」

 しかし、菅谷客員教授は次の流行を危惧する。

「今、長引いているインフルの流行は、今秋の流行の前兆だととらえています。アメリカと同様、日本でも大きな流行が発生する可能性があります」

 インフルは通常、北半球では12月から流行が始まり、1月にピークとなる。「ところが直近の欧米のインフルの流行は昨年10月から始まっています。つまり、流行開始が例年より1、2カ月早かった。しかも、大規模なものとなりました」

 先にも書いたように、欧米では1シーズン、インフルの流行がなかったが、日本では2シーズン、インフルの流行が起こらなかった。

「ですから、日本人のインフルに対する免疫は欧米人よりも落ちていると思われます。次の流行は例年よりも早期に始まり、大きなものになると予測しています」

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「早く準備を進めるべきだ」