阪神が強い。5月31日の西武戦で敗れ、球団新記録の月間20勝は達成できなかったが最近18試合で16勝2敗。16年ぶりの9連勝を飾るなど、投打がかみ合い、「横綱相撲」で勝ち続けている。(数字は5月31日時点)
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スポーツ紙デスクは、その強さについてこう分析する。
「今年から復帰した岡田彰布監督の方針で、中野拓夢を遊撃から二塁にコンバートしたことが功を奏している。遊撃に入った木浪聖也は強肩で打撃も勝負強さを発揮している。その貢献度は非常に大きい。佐藤輝明を三塁、大山悠輔を一塁で固定して打撃に集中できている。手堅い野球で勝つべくして勝っている」
2019年から4年間指揮をふるった矢野燿大前監督はナインの人望は厚かったが、「チームを勝たせる監督」にはなれなかった。自慢の投手陣で守り勝つ野球を指向するべきだったが、大山、佐藤を内外野で起用するなど主力選手を複数のポジションで起用。ミスが目立ち、守備の意識が高いとは言えなかった。本拠地・甲子園が土のグラウンドであることを考慮しなければいけないが、昨年は5年連続リーグワーストの86失策。攻撃もリーグ5位の489得点と奮闘する投手陣を援護できない試合が目立った。
だが、今年は違う。打線は木浪が下位打線の核になることで、どこからでも得点が奪えるようになり、相手バッテリーは気を抜けない。3番に入る新外国人のシェルドン・ノイジーは守備意識が高く、状況に応じてコンパクトな打撃をするなど日本向きの助っ人だ。4番・大山、5番・佐藤も勝負強さが光る。192得点はリーグトップだ。
投手陣は2021、22年と2年連続最多勝に輝いた青柳晃洋が2勝3敗、防御率5.63と状態が上がらず、今月20日に登録抹消されたが、新星たちがその穴を補って余りある活躍を見せている。ソフトバンクで伸び悩み、現役ドラフトで移籍した大竹耕太郎は7試合登板で6勝0敗、防御率0.40をマーク。プロ2年間で未勝利だった村上頌樹も7試合登板で5勝1敗、防御率1.41と先発陣の核になっている。トミー・ジョン手術から復活した才木浩人、左腕エース・伊藤将司も安定した投球を続けている中、先発ローテーションの柱として長年稼働してきた西勇輝も結果を残さなければ立場を保証されていない。救援陣も安定しているため、試合の主導権を渡さない。1点差試合に強いのも特徴だ。
投打に死角がないように感じるが、最後にリーグ制覇したのは18年前の05年。V逸が続いた理由のひとつは夏場以降の失速だ。直近では21年に開幕ダッシュに成功して貯金を最大21まで増やしたが、夏場以降は爆発力を欠いてヤクルトの逆転優勝を許した。