だが、過去に附属小で教育実習を受けた経験者たちからは「小学校教員になりたいと思わなくなった」と、不満が噴出する。理由は以下の体験談の数々から一目瞭然だ。
「ずっと立ちっぱなしだったし、トイレに行ける雰囲気でもなかった」
「深夜1時ごろまで自宅での残業が必要だった」
「手作りの弁当を強要された。しかも、彩りが悪いと注意された」
「市販のサンドイッチは弁当箱に詰め替えて、自作を装うよう指導された。ペットボトルも禁止で、水筒に入れ直した」……。
さらに、数年前に校内を訪れた関係者からは、「実習生が教員に怒鳴られていた」との目撃証言もあがっている。
附属小におけるパワハラや長時間労働を生み出す温床として問題視されているのが、長年行われてきた「授業研究会(通称・校内研)」だ。様子を知る人々の話を総合すると、その実態はこうだ。
毎週木曜日、その週の担当教員は同僚に授業の様子を公開する。基本的に校内の全教員が参観するため、その時間は、担当教員のクラス以外の児童は自習となる。
放課後は2~3時間にわたる「事後研究会」が開かれ、先輩教員からの厳しい指導がある。授業の様子を撮影した録画を見せながら、「ほら、このとき子どもに顔を向けていない」などと細かく指摘されることもあり、D氏によると「附属小歴の短い教員のプライドをたたき、ゼロから鍛え上げる」のだという。
その後、半強制の飲み会が待ち受けているのも、「昔からの伝統」(C氏)。翌日も仕事があるにもかかわらず深夜まで拘束され、飲み代や代行運転の費用もかさむ。耐えかねて管理職に相談する教員もいたが、改善されることはなかった。
■異例の転出者数「もみ消し」の噂
さらにコロナ禍では、酒盛りの場は学校内へと移った。輪になって集まり、指導とは名ばかりの「いびり」や「吊るし上げ」が加速し、帰宅できなくなった教員が教材室のソファで寝泊まりすることが常態化。附属小は“不夜城”と呼ばれていた。授業研究会はBさんが亡くなって以降中止になったが、昨年から再開しているという。