本誌は、教員の死やそれをめぐる対応などについて、大学広報に見解を求めた。すると、文書で以下のような回答が返ってきた。

「附属学校及び大学としては教員の私生活等について詳しく知りうる立場にないことから、逝去の背景について意見を述べることは出来ません」

「本学の附属学校について、数度にわたって改革に向けた調査を実施し、検討委員会を開催し、改善に努めているところです。具体的には、校務支援システムを導入する、教育実習や授業研究会に関する負担を軽減するなどの対応を行っています」

 附属小では、Bさんが亡くなった後も、赴任したばかりの教員から休職者が出ているという。本当に状況は改善されたのだろうか。

 子どもたちの学び舎でパワハラや長時間労働が横行し、現場の教員が亡くなってもきちんとした調査を行わない。結果、旧態依然とした体質の被害者が後を絶たない実態があるのだとしたら、冒頭でA氏が訴える「教育界の闇」は、恐ろしく深い。(本誌・大谷百合絵)

週刊朝日  2023年3月24日号

著者プロフィールを見る
大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

大谷百合絵の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ