関係者たちの証言によると、附属小への調査結果を受けて、いちおう現場の教員数人に処分が下っている。
だが、その理由は「熊本大学の就業規則違反となる校内での飲酒」。前出の証言にあった「授業研究会の名を借りた酒盛り」が問題視されたと思われるが、Bさんを追い詰めるようなパワハラ行為があったかどうかは追及されていない。
しかも、下された処分の種類は、「訓告」程度だという。これは文書や口頭で注意をするもので、懲戒の扱いにはならない。公立学校内で飲酒があった場合は停職処分相当という見方もあり、県内の教育委員会関係者からは「この処分は軽すぎる」という意見が出ている。大学内外で「報道発表を避けるために軽い処分にしたのではないか」と、臆測が飛び交うのも無理はない。
本誌は大学に対し、処分内容についての情報公開請求をしたが、
「当該事実の有無を明らかにすることは、当該教職員の特定が可能になるおそれがあり、当該個人の権利利益を害するおそれがある」
と、拒否された。
前述のとおり、附属小では昨年、教員の大掛かりな入れ替えがあった。関係者たちは「これ以上の処分や事情聴取は難しくなった」と見ており、A氏も「真相究明をあいまいにすれば、現状をますます悪化させるのではないか」と危惧している。
■報告書は非開示 大学内にも怒り
一連の大学側の対応に納得できない白石准教授は、昨年9月、学長宛てに「要望書」を提出した。教員の死の真相究明と、そのための第三者による調査委員会の設置が、主な訴えだ。翌月、大学からの回答が届いたが、その内容は、
「亡くなった教員についての調査は既に完了し、これ以上は必要ない。調査報告書も開示しない」
「附属小の問題を改善するための第三者委員会が既に立ち上がっており、今月(昨年10月)、最初の会合が開かれた」
というものだった。白石准教授は語気を強めてこう語る。
「調査報告書を開示しない理由を尋ねても、『開示しないことになっているから』の一点張り。まったく許しがたい。それに第三者委員会を立ち上げたといっても、学校内のハラスメントや労務災害に詳しい専門家が参加しているのかは不透明。『附属小の問題を改善する』という目的を果たせる委員会になっているのか、疑問が残る」