『難破船』のジャケット/ファン私物/撮影・工藤隆太郎
『難破船』のジャケット/ファン私物/撮影・工藤隆太郎

 Kayaが尊敬する女性アーティストのカバーをしたアルバム『DRESS』には『ミ・アモーレ [Meu amor e……]』『難破船』を収めている。

「王道ですが、『難破船』も大好きなんです。加藤登紀子さんの曲で曲そのものも好きですが、すてきなのは衣装と歌う途中で必ず流す涙(笑)。80年代は大ヒット曲ばかりなんですが、その後、不遇の時代と言われた90年代も名曲がたくさんあります。97年発売の17枚目のアルバム『SHAKER』に収録されている『赤い薔薇が揺れた』は、私がいまソロでやっているような曲。ノスタルジックなのに打ち込みが心地よく、好きな曲の1つです。カラオケでも『赤い薔薇が揺れた』はよく歌います。私はカラオケに行っても、明菜さんの曲だけを永遠に5時間くらい歌ってます(笑)」

 Kayaがカラオケで5時間歌い続けられるほど、中森明菜には誰もが知るヒット曲が多い。オリコンの年間ベスト10に、83年『セカンド・ラブ』、84年『十戒(1984)』『北ウイング』『サザン・ウインド』、85年『ミ・アモーレ[Meu amor e……]』『飾りじゃないのよ涙は』『SAND BEIGE -砂漠へ-』、86年『DESIRE‐情熱‐』『ジプシー・クィーン』、87年『TANGO NOIR』『難破船』『BLONDE』と、5年間で12曲をランクインさせている。再放送の「伝説のコンサート」では、これらの曲を含む24曲を披露した。

 今回の地上波再放送に加え、7月15日には「中森明菜スペシャルライブ~2009・横浜」(NHKBSプレミアム)の放送も予定されている。その放送の前々日7月13日は中森明菜の57歳の誕生日。

「デビュー40周年のお誕生日には、明菜さんはライブをされていないので、私が勝手にお祝いをさせていただこうかなと(笑)。全曲、明菜さんのカバーでライブをやります。どんな曲を歌うかは楽しみにしていてください! 明菜さんにしか出せない、憂いのある表現は天下一品だと思うんですよね。これは褒め言葉なんですが、何を聞いても『闇』を感じる。表現者として明菜さんの運命そのものからほとばしる闇は本当に魅力的です。闇に美しさを見いだす文化って、やっぱり日本人にすごく合っている。だから日本人は明菜さんの魅力にハマってしまうんだと思います!」

 その魅力を語り尽くしたくなるのもまた、中森明菜の魅力のひとつなのかもしれない。(AERA dot.編集部・太田裕子)

Kaya(カヤ)/2002年、MALICE MIZERのManaのプロデュースによりユニット『Schwarz Stein』ボーカルとして活動を開始。2006年よりソロを開始、2008年シングル「ショコラ」でメジャーデビュー。耽美な歌詞とダンスミュージックを融合させた楽曲で独自の世界観を確立、アメリカ、南米、ヨーロッパなど海外公演も多数。中森明菜の誕生日・7月13日にKayaのレギュラーイベント『CafeNOIR』で全曲中森明菜カバーライブを行う。https://kaya-rose.com/