あとはWARにも来てくれたボブ・バックランドもすごい紳士だった。実力があるのに偉ぶらず、ひけらかすでもなく、まさに好青年といった感じだ。彼は優しい顔をしたベビーフェイスだったけど、フロリダのプロレスの練習場ではいつも道場破りの相手をしていたんだって。やってくる道場破りは優しい顔つきをしたバックランドだったら勝てると思って彼と戦うんだけど、ものの10秒で泣かされていたようだ。優しい顔をしてやることはキッチリやる奴だって、フロリダでは有名だったらしいよ。

 ひょうきんだったレスラーといえば、俺の中ではディック・マードックしかいないね! 家に遊びに行ったら、ベッドで寝ながらテレビを観たいと言って、天井に無理やりテレビをくくりつけていたりと、ふざけたことをする人だったよ。それに彼は「ドンパチ」や「すみません、ビールください」という日本語を知っているくらい日本びいきだった。

 マードックは義理人情という日本の文化が好きだったようだね。行きつけの店もあって、日本で稼いだ金の半分以上は日本で使っていたんじゃないかな。テキサスの出身だからおおらかではばかりなく、酒は徹底的に飲むし、はしゃぐときは徹底的にはしゃぐ。マードックとテリー・ファンクはよく似ているよ。広い土地で育つとああいう性格になるのかね? 俺もテキサスにいたころに感化されて、日本でもカウボーイスタイルのファッションをしていたけど、すぐ女房に服を捨てられたっけ(笑)。

 日本びいきといえば、外国人レスラーは日本の焼肉が大好きだったよ。ほとんどの選手が「焼肉は最高にうまい!」と言っていたのが印象的だった。甘辛いタレの味付けがうまいのかな? そういえばテリヤキソースも人気があるもんね。ほかにも日本のあるステーキ店が人気で、わざわざ車を出してまで通うレスラーも多かった。そこは外国人レスラーが行くとサービスがよかったみたいだからね。俺も一度行ったけど、そのとき撮った写真を勝手に店に使われて「俺たちで商売しやがって!」と頭に来てね。それ以来その店には行っていないけど、外国人レスラーには人気だったよ。

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