同じ早稲田大でこの年以上に大きな話題となったのが2010年だ。大石達也に6球団、斎藤佑樹に4球団が1位競合となり、抽選の結果大石は西武、斎藤は日本ハムに入団。大石を外した広島も2人のチームメイトである福井優也を指名し、3人の投手が1位でプロ入りを果たしたのだ。しかしプロ入り後の活躍度で言うと、前に挙げた2例と比べるとかなり寂しい結果となっている。大石は中継ぎで戦力になった年はあったものの、故障もあって大学時代の球威が戻ることなく2019年で引退。斎藤も1年目に6勝、2年目には開幕投手を務めて5勝と滑り出しは悪くなかったが、同じく故障に泣き、昨年オフに通算15勝でユニフォームを脱いだ。福井は楽天に移籍して現役を続けているが、広島での5年目に記録した9勝がキャリアハイであり、今年も一軍と二軍を行き来している状況だ。高い評価でプロ入りしても揃って活躍することが難しいことを実感する例と言えそうだ。

 高校は大学に比べると例が少ないが、史上最多の4人をプロに送り出したのが2001年の日大三だ。チームはこの年、夏の甲子園でも圧倒的な強さで優勝を果たしている。特に評価が高かったのが3番センターの内田和也で、4巡目でヤクルトに入団。夏の甲子園で16安打を放った都築克幸は7巡目で中日、控え投手の千葉英貴は6巡目で横浜、そしてエースの近藤一樹が7巡目で近鉄に入団となっている。内田、都築、千葉の3人は結果を残すことができなかったが、近藤は着実に力をつけ、吸収合併後のオリックスでは二桁勝利をマーク。その後は中継ぎに転向し、トレードで移籍したヤクルトではプロ入り17年目にして最優秀中継ぎ投手のタイトルも獲得したのだ。2020年限りで退団となったが、現在も四国アイランドリーグplusの香川でコーチ兼任として現役を続けている。

 そして高校で今後の出世レースに注目が集まるのが2018年の大阪桐蔭だ。この年のチームは史上初となる2度目の甲子園春夏連覇を達成。根尾昂(中日)と藤原恭大(ロッテ)の2人が競合1位となり、横川凱(巨人4位)と柿木蓮(日本ハム5位)の投手2人も揃って指名されている。高校からの同時指名人数は前述した2001年の日大三と並んで最多タイだが、1位が2人いるということからも華やかさでは明らかに上回っている。

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