しかしプロ入り4年目の現段階で、期待通りの活躍を見せているかと言われるとノーと言わざるを得ない状況だ。藤原は1年目にいきなり開幕スタメン出場と華々しいデビューを飾ったものの、なかなかバッティングが安定せず、外野のレギュラー争いを勝ち抜くことができていない。早くからセンターに定着することを期待されていただけに、現状に満足しているファンはいないはずだ。

 根尾も二軍では多くの打席を与えられ、昨年はようやく一軍の戦力になりつつあるように見えたが、今年は度重なるポジション変更で最終的には投手転向が決まった。ピッチャーとしても高いポテンシャルを見せているものの、チームとファンが思い描いていた姿でないことは確かだ。横川も2年目に一軍デビューを果たしたが、フォームが安定せずに二軍暮らしが続いている。チームは若手投手がどんどん出てきているだけに、そろそろ結果を残したいところだ。

 そんな中で、今年ようやく希望が見えてきたのが柿木だ。高校時代はエースながら指名順位は低く、プロ入り後もフォームを崩して心配な状況が続いていたが、今年は6月11日の一軍初登板で最速150キロをマークするなど成長ぶりをアピールしたのだ。まだ目立った結果を残したわけではないが、多くの選手を試すビッグボスの方針もあるだけに、このチャンスをものにすれば一気に一軍定着も見えてくるだろう。

 こうして改めて振り返ってみると、全員が揃って活躍することが難しいことがよくわかる。そんな中でも法政三羽ガラス、2002年の日本大、2003年の早稲田大などプロでも一流となった選手が複数いるケースがあることも確かである。今後もここで挙げた例を上回るようなスター軍団が出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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