飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。長野県麻績(おみ)村に暮らす行政書士、飯森美代子さん(58歳)は母親の在宅介護をするさなかに、猫の家族(母猫と3匹の子)を飼い始めました。8年前に母を看取り、猫たちも次々と旅立ちましたが、最後に残った雄猫は20歳を迎えてまだまだ元気。猫家族の思い出に包まれながら、シニア猫の世話をして前向きに生活する様子を聞きました。
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母は、今から8年前。2014年に93歳で亡くなりました。
私は母の介護をしながら、(2002年に)野良猫だった三毛の「チョンまね」とその子どもたち、雌の「タマ」と「メメ」、雄の「チャッぺー」を家に迎えました。
母が亡くなる前日、母のベットで、タマと私と母と川の字になって寝たことはいい思い出です。母とタマの体のぬくもりがとっても気持ちよくて、私はつい眠ってしまったのですけど、あの時のぬくもりを、今もはっきり覚えています。
長年の介護を経て母を看取った後、独りになった私は「もう自分を必要としてくれる人はいないんだ、もうどうなってもいいや」と投げやりな気持ちになったことがありました。
それでも、「猫たちがいてくれる!」と思うことで何とか踏ん張れました。母のいない寂しさに泣いた時、猫たちが近くにいてくれて、言葉は通じなくても心は分かり合えたので、母の「思い出話」をして、前を向いて、悲しみを乗り越えたんです……。
■180度変わったメメの行動
母が亡くなった後、猫にも変化がありました。とくに、メメの行動です。
うちの猫は家と庭を自由に出入りしていましたが、とくにメメは外が好きで、朝がくると庭に出ていき、夕方に戻ってくる生活を続けていたので、会社員とあだ名をつけていました。
夜は爆睡して、なでてもつっついても微動だにしないので、母はメメの姿を見て「なりふり構わずにぐうぐう眠る猫だ」といい、「なりかまメメ」と呼びました。