世界中で熱波の報告が続いている。暑さのせいで山火事が起きたり、湖が干上がったりと長引くラニーニャ現象のせいでこの先もしばらくこの混乱は続くらしい。片方で熱波が続いているのだから、どこかでは寒波が押し寄せているのだろうが、日本にいるとなかなかそちらの情報は届かない。
今年は特に欧州の気温上昇がニュースになっているが、もともと家庭のエアコン設置率が数%だと言われている英国などで38°C超の日が続けば、亡くなってしまう人も増えるというものだ。2003年の異常気象ではフランスで40°C以上の日が1週間以上続いたほか欧州各国で被害があったが、この年には「1540年以来となる記録的な暑さ」と紹介されていた。今年はどうなるだろう。
●八百万もの神々が存在するわけ
どんなに文明や科学が進歩しても、自然の脅威を失くすことはできない。地球は誕生以来、度々高温期や寒冷期を迎えているが、ここに住むほとんどすべての生き物は、その度絶滅したり眠りについたりしてきた歴史がある。こういった自然に対する畏怖から生まれた神々は、どれほど離れた場所にあっても似通っている。日本には八百万もの神々が住まわれているから、特に自然災害を鎮めてくれる神は細かに分担がわかれていたりもする。
●水をあやつる眷属たる龍
日本にいると忘れがちだが、世界を見渡すと「水」は生き物が争いをもたらす原因としてかなり大きな比重を持っている。今でも国境を接した国と国の間で、川の治水権が紛争となっている場所は多い。加えて日本のように高低差のある川は大陸では珍しいので、水の流れは緩慢で一度汚染されるとなかなか回復しないことも、水不足へとつながる一因となっている。これに熱波が加われば、あっという間に干ばつが広がり飢饉が訪れる。水が豊かとされる日本でさえ、雨乞いのための神さまや眷属たちが各地に祀られている。代表的なものは龍や蛇であろう(キリスト教的には悪魔の遣いであるが)。
●武将にも愛された火伏せの神さま
また、日本における「火」にまつわる神仏も多々存在し、水の神に負けないほど祀られている。例えば「愛宕神社」に代表される愛宕神だが、もともとは火伏せの神で、愛宕権現と呼ばれてきた。神であり仏である権現さまの1神ということになる。現在では神社としてはイザナミ、カグツチ、ホノムスビなどの名で呼ばれ、お寺としては勝軍地蔵として祀られる。本来は火伏せであった神が、「勝軍」と異名を持ったことでわかるようにのちには武神としても崇められるようになった。武士に人気のあった神となり、有名なところでは直江兼続の兜に掲げられた「愛」は愛宕信仰からくるものと言われている(別の説もあり)。