米・ハーバード大学とジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。現在はコンサートなどの音楽活動を行いながら、日本の大学でグローバル人材を育成するための授業も受け持っている。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.連載。第13回は、ジュリアード在学中の夏休みと大学院の修了について。
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ジュリアード音楽院在学中から、本格的にバイオリニストとしての道を歩み始めた廣津留さん。グループでの活動にも精力的に取り組んだ。
「ジュリアードでは在学中に室内楽の授業を履修することが必須になっています。私は入学時のオリエンテーションで近くに座っていた子に声をかけたのをきっかけに、カルテット(四重奏団)を結成しました。試しに一緒に演奏してみたら、思った以上に“いい感じ”だったんです。音楽家のグループは、長い時間を一緒に過ごすことになるので、演奏の相性はもちろんですが、性格の相性も大事。4人ともオイスター好き、と食の好みが合ったこともよかったですね(笑)
私たちのカルテットは学校のフェローシップ※に選ばれていたこともあり、日中は授業に出席して、夜や週末はコンサートで演奏することがほとんどでした。リンカーン・センターやMoMA(ニューヨーク近代美術館)、ワシントンD.C.にある日本大使館などでも演奏し、すごく楽しかったです」
■夏休みは勝負の時期
プロの演奏家を目指す学生にとって、夏休みはコネクションを作る大事な時期。技術の向上と自己アピールができる絶好の期間になる。
「カルテットや個人でもさまざまな場所で演奏していましたが、とくに忙しいのが夏です。アメリカでは5月の半ばに学期が終わると3カ月近くの夏休みが始まります」