甲子園で優勝経験のある監督の一人は「チームは一度タガが緩むと、そこから元に戻すのが大変」と述懐しているが、山上監督もそれを危惧していたのは言うまでもない。
しかし、上宮は2日後の準々決勝で大越基(元ダイエー)の仙台育英に2対10と大敗。「(負けて)泣きたくなかったら、ちゃんとやれ!」の叱言も、実ることなく終わった。
球児のガッツポーズは好ましくないとする風潮が強い高校野球で、指揮官自らガッツポーズを連発するなど、球児以上の喜び全開パフォーマンスで話題になったのが、明石商の狭間善徳監督だ。
作戦が決まったり、得点が入るたびに、ベンチ前で阪神・矢野耀大監督ばりの派手なガッツポーズを披露する姿は、“狭間ガッツ”としてすっかりおなじみになった。
19年の3回戦、宇部鴻城戦では、8回に三盗成功の直後、ヒットエンドランが決まり、2対2の同点に追いつくと、狭間監督は「やったぜ!」とばかりにベンチ前で右腕を思い切り振り下ろす派手なガッツポーズで大喜び。このパフォーマンスがチームを勢いづけ、劇的な逆転サヨナラ勝ちを呼び込んだ。
さらに準々決勝で八戸学院光星を7対6で下し、4強入りを決めた試合後にも、狭間監督は「(ガッツポーズをやり過ぎて)右肘がおかしくなった」とジョークまじりにコメントしたが、その後、このオーバーアクションが高野連から注意を受けたことが明るみになった。
だが、本人は「伝令に行くときにベンチから(大きく)出たことで、ちょっと出過ぎですよと怒られた」とガッツポーズに対するお叱りではなかったことを説明。今後もガッツポーズを続けていくことを宣言した。
ファンの間でも「選手と一緒に喜び合う姿がいい」「自分のプレーをこんなに喜んでくれたら、選手もうれしいはず」など好意的な意見が多い。甲子園で再び狭間ガッツが見られる日が待たれる。
歴史的勝利の試合後、思わず感極まり、お立ち台で男泣きしたのが、龍谷大平安・原田英彦監督だ。