各球団100試合以上を消化し、ペナントレースもいよいよ大詰めの時期となってきた。故障や新型コロナウイルス感染によって主力が離脱することも多いが、逆に開幕前の期待を良い意味で裏切る活躍を見せている選手がいることもまた事実である。そんな今シーズン嬉しい誤算となっている選手について、上位の球団を中心にピックアップして紹介する(成績は8月18日終了時点)。
まずセ・リーグの首位を走るヤクルトでは長岡秀樹の名前が挙がる。八千代松陰高から2019年のドラフト5位で入団。1年目から二軍では多く起用されていたものの、昨年までの2年間で一軍では11試合に出場して1安打という数字しか残っていない。しかし今年はオープン戦でアピールして開幕スタメンを勝ち取ると、いきなり4安打をマーク。その後も新型コロナウイルス感染で離脱した時期はあったものの、ショートのレギュラーとして出場を続け、チーム4位となる91安打を放つ活躍を見せているのだ。
体はそれほど大きいわけではないが、思い切りの良いスイングでヘッドの走りは素晴らしいものがあり、ここまで7本塁打と長打力も備えている。ショートの守備も失策数は10と少なくないが、球際の強さと速くて正確なスローイングも魅力だ。一方で課題となるのは確実性と出塁率の向上。積極的に打ちにいくスタイルのため三振は多くないが、その分四球も少なく、出塁率は.267にとどまっている。持ち味である思い切りの良さに加えて、しっかりボールを見極めることができる技術もついてくるかが、今後の注目ポイントとなりそうだ。
佐々岡真司監督就任以降では初となるAクラス入りの期待がかかる広島ではリリーフ右腕の矢崎拓也を挙げたい。2016年のドラフト会議で田中正義(創価大→ソフトバンク)、佐々木千隼(桜美林大→ロッテ)の“外れ外れ”ではあったものの、1位指名で慶応大から入団(当時の姓は加藤)。1年目にはプロ初登板、初先発となったヤクルト戦で9回ワンアウトまでノーヒットピッチングで初勝利をマークする華々しいデビューを飾っている。しかしその後は制球難で二軍暮らしが続き、昨年までの5年間で挙げた勝利はデビュー戦の1勝のみ。